スケート靴の芯折れ修理
こちらは現在テスト中の修理です。
お客様から壊れた靴を頂き、色々と修理を試していました。
靴の故障の中でも特に靴の芯折れは大きな問題で、急に靴が柔らかくなってしまい、ジャンプが飛べなくなるのを良く聞きます。
新しい靴が来るまで、ビニールテープで補強して使われる姿を良く見ます。
大会やテストなど、大事な時の直前に芯が折れてしまい、全く実力を出せなかったりする事もあるそうです。
こんな芯折れを補修出来れば、喜ぶ方も多いと思い、色々と試行錯誤を重ねました。
こちらが今回修理する靴です。
綺麗な芯折れなので、実験材料とさせて頂きました。
折れている足首の革をめくって、芯の状態を確認してみました。
芯が割れてしまっています。
足首のスジも樹脂が薄く、柔らかくなっていました。
芯の割れた部分と、薄くなった部分に特殊な樹脂を埋め込みます。
芯と同じ色なので分かりにくいですが、何度も重ねて強度を出します。
樹脂が乾燥して固くなったら、やすりやサンドペーパーで表面を整えます。
上との違いは分かりにくいと思いますが、なめらかになっています。
これだけでも随分足首は固くなりました。
先程の樹脂にFRP(繊維強化プラスチック)を張り付けます。
樹脂の表面を整えたのは、FRPをしっかりと全体に密着させる為です。
FRPがしっかりと固まったら、最後に革を元通りに張り付けて完成です。
樹脂やFRPの分だけ芯が厚くなるので、補修した部分は少し膨らみます。
今回は皆様に中を見てもらえる様に革は接着していません。
大まかな手順ですが、これで芯折れ部分の補修が出来ました。
今ではどんなに力一杯足首を押し込んでも、靴が曲がる事は無くなりました。
実物を手に取って頂き、どれだけ固くなったか確認して頂くのが良いと思います。
作業時間は片足2~3時間ですが、芯折れの場所や状況によって変動します。
速乾性の樹脂を使い、作業時間を大幅に減らす事が出来ました。
これでしたら練習後にお預かりして、翌日の練習前にはお渡し出来そうです。
作業時間 2~3時間
作業料金 片足5,000円程度(材料費含む)